総務省は、2018年10月10日に「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の初会合を開きました。この会合では、割高なスマホ料金や複雑な料金プランなど、携帯電話事業者を取り巻く問題の解決について話し合われました。
現状ではユーザーが最適な事業者やサービスを選べない
総務省は、2018年10月10日に開いた「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の初会合からスタートして、有識者と議論を積み重ねながら、2019年2月までに中間報告案をまとめる計画だそうです。
総務省は、ユーザーが各自で最適な事業者やサービスを選定できるようにするため、事業者間の競争を促進するなど環境を整備していく方向性のようです。
これまでも、総務省は、携帯電話事業者に向けてユーザーのニーズに合った料金プランの導入を推奨しており、MNOやMVNOは、ライトユーザー向けにデータ容量が1GBの割安プランなどの提供を実施してきました。
しかし、研究会では、例えば、全国地域婦人団体連絡協議会事務局長の長田三紀氏が「料金プランや割引の内容を理解していないまま契約した人や、使い切れないほどの機能を搭載した高額な端末を利用している人もいる」と発言するなど、「現状はユーザーが自分に最適なプランを選択できるようになっていない」「ユーザーがちょうど良いスペックのサービスや端末を得るシステムがない」という指摘が上がっています。
2年縛りに関しても、ユーザーに喜ばしくない状況が続いている
また、長田三紀氏は2年契約を条件に基本料金を割り引く「2年縛り」などの期間拘束契約についても「自動更新は絶対にやめるべきだ」と指摘。
2年縛りについては総務省も6月に携帯電話事業者へ既に指導しているが、長田氏は、「自動更新なしのプランも提供され始めているが、料金が高くなるなどユーザーには喜ばしくない状況が続いている」と指摘しています。
また、明治大学法学部の新美育史教授は「料金設定の仕組みがどうなっているのか、ユーザーには分からないのが一番の問題だ」と発言した上で、「ユーザーとキャリアというB2Cだけでなく、その先にあるB2B(事業者間取り引き)の情報を明らかにしない限りは、公平な事業者間競争は難しいのではないか」と発言。
どのキャリアがどこと取引しているのか、という事業者間取引の情報も開示すると良いのではと指摘しています。
その他、慶応義塾大学大学院の黒坂達也氏(政策・メディア研究科 特任准教授)は「消費者にはモバイル産業の構造を理解する義務がなく、理解するためのインセンティブも付与されていない」とした上で、「ユーザーリテラシーを向上させるのも重要だが、それに頼らない施策も必要だ。極論を言うと、消費者のリテラシーが向上しなくても安くて良いものを使える環境を目指して議論してもいいのでは」と指摘しています。
まとめ
総務省は、2018年10月10日に「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の初会合を開きました。この会合では、割高なスマホ料金や複雑な料金プランなど、携帯電話事業者を取り巻く問題の解決について話し合われました。